最近掲示板などで表題の記事が話題になっていたので見てみたら、少し前の記事だったんですね。2019年くらいの記事でした。実際高齢者は賃貸物件を借りれないのでしょうか。確かにマイホーム購入相談の方で購入の動機が「年取ったら賃貸は無理ときいたから」という人は一定数います。実際、借りられないから無理してもマイホームを買う方がいいのでしょうか。
結論からいえば老人は賃貸物件を借りられないということはない
統計局の住宅・土地統計調査でも一人暮らしの老人の賃貸の率は半分の5割となっていますし、国土交通省住宅局の調査結果でも実際老人というだけで入居制限を行っているのは11.9%と少ない数値です。
また、私の身の回りの大家業を営んでる人も、大抵は入居していただけるのならば空き家になるよりずっといいので断りはしないという方針で賃貸経営をしています。
つまり実態として老人も賃貸は借りれているし、家主側も老人でも問題なく貸してるという状況だと思います。
じゃあ表題の件は嘘なのかというと、そうではなく、ここを正しく解釈するならば「80代女性は(借りたいと思うところに)借りることができない」ということではないかと思います。
なぜ借りたいところを借りられないのか
いくつか理由があると思います。
まずひとつがお金の問題です。老人になり、労働ができなくなると一般的には収入が減ります。借りる際に審査などがあります。収入が少なくなってくると入れる物件の幅は狭まっていきますよね。なかなか思ったようなところに住むのは難しいとなります。
次に連帯保証人の問題です。特に単身の老人だと連帯保証をしてくれる人もいなくなっている場合も多いです。その際、保証会社というところにサポートを依頼すると思いますが、保証会社も収入に応じてその家賃を保証できるかどうかを決めるため、背伸びした物件だと審査から弾かれてしまうとなります。
また、大家側としても老人というのは入居制限しないまでも、Welcomeというわけではありません。実際国土交通省の住宅局の調査でも回答した大家の6割は老人に対して拒否感はあると答えています。これは家賃滞納などが起きた場合に、無理やり退去してもらう「強制執行」というのがあるのですが、老人には適応できないというところがあるためです。そういう意味で人気のある物件は大家も強気でお断りしてくる、ということになります。
代表的なものをあげましたが、こういった理由で「思ったようなところには住めない」というのが実態だと思います。就職なんかも似ていますよね、求人はあるけど、仕事を求めている人からすると「不景気で全然(自分が行きたいと思うような)会社の募集ないわー」というのと同じです。
じゃあやっぱり家は買わなきゃいけないの?
賃貸になると老後は思ったようなところに新しく住めなくなることがわかりました。とはいえ、買わなきゃいけないということはないでしょう。
理由としては、まず第一に賃貸でも老人になってから住み替えるのが難しいだけで、早い段階から住んでいるところならば問題はないからです。年取ったからといって追い出されるわけではありません。また、第二に買ったら思ったようなところに住めるかと行ったらそうでもないと思います。買える予算の物件=思ったような物件とは限りませんので。結局お金の問題で、思ったような物件が買えず不本意なところで暮らす可能性だってあります。
最終的には、住もうと思えば老人でも賃貸で生活することは可能。まず自分の老後にどれくらいの生活レベルをしていたいか、ボトムラインをきちんと考えておきましょう。そしてもし、単身の老人になった場合、年金や貯蓄でどれくらいの家賃の家が借りられるかまずそこから考えてみましょう、ということです。