年末に令和4年の税制改正の大枠が発表されましたね。結論から言えば若干消費者不利です。具体的にどういったところが悪くなったのかと、今後の動きについて説明させていただきます。ちなみにこれまでの経験的にほぼ決まったようなものですが、4月に国会で採決されるまでは確定ではないです。そこだけご留意ください。
控除率1%が0.7%へ
<控除減の理由>私の本でも書かせいただきましたし、これまでもブログで発信させていただいておりましたが、もともと1%はやりすぎだという声が何年も前からありました。バブル期などは金利が4%とか6%あって、住宅ローン控除はそれを和らげる役割だったのに、現在は金利が変動金利で0.4%程度と、和らげるどころか借りたら儲かるキャッシュバック制度になってしまった、というところです。結果的にお金を借りなくてもいい人が、ずっと借りておくというような形になってしまい、それは本来の目的と違うよね、ということになったわけです。
その対応として、財務省と国土交通省でどうするかの考え方などがあったのですが、拙著「知りたいことがよくわかる! 図解 住宅ローンのしくみと新常識」では令和4年以降の予測として、財務省側の考え方の「金利分を上限とした住宅ローン控除になる」という考え方を紹介させていただきましたが、今回外れてしまいまして、国土交通省側の「控除を1%から0.7%」とするという方向性が発表となりました。
新築で控除期間13年、上限が基本3000万円へ
新築と中古、省エネ住宅かどうかなどで諸々条件が変わるのですが、新築の住宅で見ると、控除期間は13年、控除の上限が3000万円になります。まず控除期間はもともとの制度が10年ではあったのですが、昨年度まで13年間なんらかの形での控除となっていたので、基本的には条件変わらずです。控除の金額の条件は昨年度まで4000万円だったので1000万ダウンしたということで悪くなっています。
ただ、冒頭に申し上げたように対象物件によっては全然条件は変わってないケースもあり、例えば中古のマンションとかのものでしたら、10年で上限2000万とこれまでと変わらないといったことがあります。(前の項目の0.7%という点は変わりますが)
前年から改悪で損した!もうやーめた となる前に「令和6年からは更に改悪予定」
こういった話を聞くと損した気分になって、住宅買うの考えるのはちょっと控えようということになるかと思いますが、今一度この税制案に出てる今後の予定をお伝えしますと、令和6年からは「控除は0.7%で変わらないけど、期間は10年、上限2000万」というさらなる改悪がかかれています。そのような意味でむしろ「住宅ローン控除は今が一番好条件かもしれない」、ということを想定されておくのがいいかと思います。
令和2年と比べて、実は大方の人にとってはそこまで損ではないことも知っておきましょう
数字だけ見ると結構条件悪くなってるように見えますが、実は満額控除変換して貰える人ってもともとそんなに多くはいませんでした。借り入れで10年以上に渡って4000万以上借りてるわけで、そう考えると物件価格6000万、年収は800万以上ではじめて満額もらえる形でした。
だいたい家を購入するご家庭のボリュームゾーンは物件自体も4000より下の場合が多いかと思いますし、日本の平均年収も400万くらいになっていますので、多くの方にとってはもともとの控除満額は貰えてなかったということです。平均的な状況で試算すると、この0.7%の13年となっても損した額は総額で100万には至らない、あまり変わらないのではないかと思っています。
また、逆に高い物件を、高収入夫婦がペアローンで買う場合は、むしろ前より控除は増えるケースもあるかと思います。そのような意味で住宅を買うのを取りやめるほどの税制の改悪ではないということだけお伝えして締めくくりたいと思います。