2021年1月からじわじわと国債の金利(長期金利)が上がってきて、2月の末には目に見える形の上昇を見せてきました。これと同時に日経平均もかなりの暴落。フラット35を扱うARUHI株も決算内容は良いのにガツンと株価が下がりましたね(日経平均の下げ幅以上に落ちました)。株価変動の理由はいろいろあると思いますが、いったん住宅ローン観点から見た見解を述べさせていただきます。
アルヒはフラット35の取り扱いNO.1の企業
フラット35って何? と思われるかもしれませんが、全期間固定金利の住宅ローン商品です。35年とかそういったスパンで金利は変わりません、というものです。その反対が変動金利で、短期で金利が変わるよ、というもので、2021年2月現在、フラット35の金利が1.3%位、変動金利で低金利のものが0.4%くらいというのが大体の水準です。昔金利が4%とかあった時代もあるのでその分のリスクということで長期固定のフラット35の金利のほうが高く設定されているのです。ちなみに住宅ローンという借金の金利ですから、低いほうが我々消費者にとってありがたいということを補足しておきます。
アルヒは国内最大手の住宅ローン専門金融会社で、フラット35を中心とする住宅ローンの貸付、回収を行う企業です。フラット35の取り扱いはNo.1です。2020年に不正融資疑惑問題があり、株価が下落した時がありましたが、その後また株価が上昇し続けてきました。しかし、2021年2月から株価が反転し、下落に大きく転じているという状況です。
決算もいいのになぜ下落するアルヒ株
アルヒはこのコロナ禍でも決算の内容もよく、2021年3月の年度末予測としては過去最高になると見られております。にもかかわらず、株価が下落しており、理由として挙げられているものとしては、①長期金利上昇の影響=長期金利が上がると平均的な株価は下がるという相関があると言われているため②たくさん株を持っている機関投資家(モルガンスタンレーとか大手証券会社のこと)が売りに転じているため。
まあいわれているように、それもあると思いますが、住宅ローンという見方からすると、問題はこの長期金利上昇によっておこる主力商品のフラット35の選択率の低下の懸念ではないかと思っています。
フラット35の金利はおそらく上昇へ
長期金利が上昇していることは冒頭でお伝えしましたが、アルヒの主力の商品であるフラット35も長期固定金利商品であるので、相関しています。住宅金融支援機構(フラット35の元締めの機関)が2021年2月半ばに発表した「第166回貸付債権担保住宅金融支援機構債券」の金利を見ても、前月より0.05ポイント上昇に転じています。このため、3月にはフラット35の金利はほぼ上がるでしょう。
逆にまだ変動金利については、金利上昇の兆しはありません。このため、フラット35が金利上昇するとフラット35の選択率は減ってくる、すなわちアルヒの売り上げはこれからちょっと落ちてくるのではないか、という懸念が出てくる、ということになります。このため、アルヒの株が下がってくるという見方もできるわけです。
フラット35の金利ですが、私の予想としては2月現在の1.3%くらいからおよそ1.4%くらいになると思っています。この答え合わせは近日中にできると思います。